街区と水路の整備状況と隣接環境からみた河川水路空間の要素:長野市における街区整備との関係からみた河川水路空間の構成（1)

摘要

長野県長野巿は、長野県の北部に位置し、北信五岳を背景に千曲川、犀川など大小の川が流れる地域である。江戸時代に農村地帯としての発展に伴い整備された用水路は、裾花川から南東に放射状に流下しており、現在でもこれらの多くが開渠として長野巿全域に残存している（図。また、現在長野巿全域にかけて、高度経済成長期や冬季オリンピックの開催により街路•水路整備が行われ、農業•工業•居住に関する建物と、駐車場や庭、畑などの空地と水路が併存•混在する状況が生じている。宅地開発に伴って行われる街路•水路整備はその後の水路まわりの環境に大きく影響し、水路の用途や水路沿いの景観を変えていく。したがって、土地利用と関連した有効な水路活用計画を立てるためには、水路が通過する環境一体をひとつの「河川水路空間」として捉え、街区整備や水路整備との関係から、河川水路空間の性質を導くことが重要と考える。