わが国戦後に形成された商店街の空間と組織に関する歴史的研究:アーケード建設事業に着目して

摘要

戦後商店街を新たに構成するために行政が行った規制と支援に関しては大きく二つ、1）空間規則の制定や助成金制度の整理などの商店街の空間に関わるものと、2）ヤミ市を合法化する規制を敷くなどの商店街の組織に関わるものがあったと言えるだろう。そして戦後ヤミ市から整理されつつあった商店街組織は、ヤミ市から商店街への転換の中でアーケード建設事業に着手することとなる。戦後新たに登場した空間装置を取り扱う中で、商店街組織はさまざまな形で結束を見せた。行政に対するアーケード設置の規制緩和要請や、助成金獲得のための合意形成、また維持管理のための商店街組織再編などが見られた。アーケード建設を契機として、商店街の組織が変容していったと言えるだろう。