ジローナのサン・フェリウ聖堂の建築的・都市的変容クレリック・アーバニズム：イベリア半島中世都市の形成・整備における宗教勢力の役割（２）

摘要

スペインのカタルーニャ州北東部に位置し、フランス国境からほど近いジローナ（Girona, スペイン語ではヘローナ Gerona）は、アウグスタ街道沿いの要衝の地に建設された古代ローマ時代の小都市を起源とし、中世には司教座都市・商工業都市として発展した。中世の都市組織を残し、大聖堂をはじめ当時の主要な教会堂や修道院、都市邸宅、中世の浴場などの遺構がよく保存されているだけでなく、土地売買記録やモニュメントの建設経緯を記した文書などの文献史料が豊富で、カタルーニャの中世建築・都市史を語る上で避けて通ることはできない。