武田五一とF. L. ライトとの関連とアーツ・アンド・クラフツ運動の影響について:武田五一研究 (16)

摘要

これまでの一連の武田五一研究において､イギリスのゴシック・リヴァイヴァルからアーツ・アンド・クラフツ運動へと至る動向の影響について検討してきた。本稿では武田の活動の一端である、日本の建築界へのF. L. ライトの紹介者としての役割について再考する。本研究に関連して、すでに帝国ホテルの建設過程において林愛作から武田への設計に関する相談があったことについて報告を行った。また､その研究を承けて福山美術館の『フランク・ロイド・ライトと武田五一―日本趣味と近代建築』展でも講演を行い、図録に再録されている。本稿では､新たな資料を加えながら､先行する研究では不十分であった武田とライトの関係と両者に通底するイギリスの建築工芸運動との関連性について考察する。