入院時インタビューと自宅訪問調査による高齢者の転倒実態の把握: 大腿骨骨折により東大病院へ入院した患者に対する調査より

摘要

高齢者の転倒は骨折や入院を伴うことも多く、身体機能・認知機能の低下や生活リズムの変化をもたらすとともに、生活範囲の縮小や寝たきり・閉じこもりなど、高齢者自身に及ぼす影響が大きい。高齢者数が増え続ける超高齢社会の日本では転倒予防が課題であるが、まずは転倒がどのような状況で発生しているのかを把握する必要がある。転倒に関わる身体的な要因や、転倒に至る動作そのものの研究や、病院や高齢者施設内における転倒調査は多くあるが、自宅や地域で実際にどのように転倒しているかを調べた研究は少ない。特に普段の生活の中で「何をしているときに転倒したか」を明らかにすることが重要である。