防災計画のためのゲームエンジンを活用した津波避難行動シミュレーションシステム鎌倉市中心市街地を対象地区として

摘要

津波避難行動シミュレーションシステムを，ゲームエンジンとオープンデータを活用して開発を行い，鎌倉市を対象として評価を行った．津波の再現は，仮想海面を模した傾斜平面の挿入による簡易な手法を用いることで，計算量を軽量化し，リアルタイムでの検討を可能とした．一方，避難者については，自律的に最も近い避難先へと定められた速度で移動するエージェントを作成した．エージェントは，歩行速度と被災条件の異なる3 種類と，避難行動の異なる2 種類を用意し，その数や比率を変更できるものとした．結果，津波高さ10 ｍであっても大きな被害が発生することが明らかとなった．また，低標高が続く道や川に挟まれた場所など，高さの比較的低い津波であっても大規模な被害が出るポイントがあることを確認した．