外部・半外部オープンスペースの形状と配置現代建築における再生・改修事例に見られるオープンスペースの構成 その1

摘要

1970 年代後半より、文化財の保存対象が、大聖堂、寺社仏閣や遺跡などの歴史的建造物から、近代建築や産業遺産といった都市の身近な建造物へと拡大した。前者の歴史的建造物では、修復保存に主眼がおかれてきたのに対し、後者では、既存建築を活かして増改築し再生させることが求められている。本研究では、現代の再生・改修建築の事例をもとに、公共施設として効果的な増改築の方法論とはどのようなものかを明らかにすることを目的とする。これまでの増改築に関する論文は、主に増改築建築の外形や内部空間構成に着目してきた。これに対し、本研究では、公共性という観点から、増改築建築における都市に開かれた外部・半外部空間に着目した。ここでは、これらをオープンスペース( 以下OS)と定め、その類型化により、周辺環境との接続関係を明らかにする。さらに、現代建築における再生・改修事例において、外部・半外部空間に見られるOS の構成形式を再生・改修前後( 以下、再生前後) で検討する。これにより、増改築に伴い再生される既存建築と周辺の都市環境との関係性を考察する。