強震動が中間層免震建物及び多段免震建物の積層ゴムアイソレータの引き抜きに及ぼす影響：その3 長周期地震動に対する中間層免震建物のアイソレータの引き抜きに及ぼす影響

摘要

近年日本各地において震度７の揺れを伴う地震が発生している。それは2011 年に発生した東北地方太平洋沖地震と2016 年に発生した熊本地震である。この2 つの地震では、その強震動が建物に及ぼす影響、その強震動特性も違っていた。このような、設計を上回る過大地震入力に対する対応策として、設計者は中間層免震建物に注目している。中間層免震建物は、免震層を中間階に設置し、免震層を介して建物を上部構造と下部構造に分かれる構造となっている。よって、免震構造において問題となっている積層ゴムアイソレータ（以下アイソレータと示す）に引き抜きが生じた場合、上部構造の転倒・落下の最悪のケースが生じる可能性が否定できない。そこで本研究では、中間層免震建物のアイソレータの引き抜き問題について取り扱うために、中間層免震建物用の平面骨組振動系モデル1)を使用し、地震応答解析を実施した。そして、2011 年東北地方太平洋沖地震の長周期地震動が中間層免震建物のアイソレータの引き抜きに及ぼす影響について、2016 年熊本地震本震の強震動と比較しながら考察を行った。