参照音源の奏法特徴を考慮した模倣評価による管楽器奏者のための練習支援システム

摘要

管楽器を練習する者にとって, 「上手い人の真似をする」という練習は, とても重要な練習である. このようなシステムの例として, カラオケやバラエティー番組などにおけるカラオケ採点コンテンツがある. このシステムは音程の正確さだけでなく, 抑揚やビブラートなどの表現力を含めて総合的に評価している. カラオケユーザーは, 歌の技術向上の他に, 遊びの一環として高得点を取ることも目的としている. しかし, 高得点を取ることと歌唱力は, 別問題であろう. その原因として,カラオケシステムは楽譜情報のみを参照していることがあげられる. 楽譜情報では, 各音のニュアンスや音と音のつなぎ方を客観的に評価できない. 一方で, 管楽器の練習においては, プロのプレーヤーの音源を模倣することで, 練習者自身の数多くの歌い方, またアドリブと呼ばれる即興演奏に用いる「フレーズ」を習得することで, 最終的に練習者が習得した数多くの引き出しから生まれる独創性こそ, 人間が奏でる音楽の良さであると考える. 本論文では, 管楽器の中でも「サクソフォン」の練習支援に焦点を当て, プロのプレーヤーの音源を比較対象として, 模倣の精度を評価できるシステムの研究を進めていく.