避難行動を誘発するテキスト情報表現の効果検証

摘要

本研究では，前段階調査で最も避難意思を促す効果が高いことを確認した恐怖喚起コミュニケーションを用いた表現について，実証的な実験を2 パターン実施し，その避難行動の誘発効果を検証した．実験では，恐怖喚起コミュニケーションを用いた表現を表示するアプリケーションを使用する群と，表現が表示されない群に分け，2 群の差を測ることで表現の効果を検証した．一つ目の実験では，客観的な視点から実験協力者の評価を得るために，2 群に対してアプリケーションを見て避難すると予想される割合を回答してもらった．その結果，恐怖喚起コミュニケーションを用いた表現を表示した群の方が避難予想の割合が高く，2 群に有意差を確認した．二つ目の実験では，災害の発生を想定した特定のシナリオ下でアプリケーションを使用した場合に，選択する避難行動を調査した．その結果，恐怖喚起コミュニケーションを用いた表現を表示した群では4 名が「避難する」と回答し，表示しなかった群では1 名のみが「避難する」と回答する結果となった．これらの実証的な実験から，恐怖喚起コミュニケーションを用いた表現について一定の避難行動誘発効果が確認された．