発話音声における母音の自動抽出

摘要

日本語の音声には母音と子音が存在する.母音は子音と比較し発話時間が長く振幅が大きいため，聴取者の印象に大きな影響を与えると考えられている.また，発話内容や話し方の影響を受けづらいという特徴も確認されている.我々は現在，これらの特徴に着目し，母音を感情識別や話者識別に利用する研究を行っている.しかし，これらの研究では母音の抽出を手作業で行っている.手作業の問題点として，個人の主観に基づいて母音抽出を行うため実験者によって抽出精度が異なってしまうことや，母音を用いた感情識別や話者識別をリアルタイムで行いたい場合に適用できないことが挙げられる.本研究では，これらの問題点を解決するため，母音の自動抽出法を開発し，実際の音声データを用いた評価実験を行った.本稿では，現時点までに得られている実験結果について報告する.