新規施設での公共施設等運営事業の統合分析によるスキーム検討

摘要

PPP/PFI の主要な事業方式として公共施設等運営（いわゆるコンセッション）事業がある．一般的にコンセッションというと，既存施設に対して運営権を設定するものと捉えられがちであるが，「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」にも説明があるように，施設を新設して運営権を設定することも可能である．内閣府の「コンセッション事業等の重点分野の進捗状況」（2018年7月1日時点）には，新規施設におけるコンセッション事業として，有明アリーナをはじめとする4事業が挙げられている．しかし，これらの4事業全てにおいて，施設整備とコンセッションの事業調達をそれぞれ別の事業として実施している．そのため，新設にもかかわらず，施設の整備に対して運営・維持管理を担うコンセッション事業者の意見が当事者のものとして直接反映できないスキームとなっている．今後の新規施設のコンセッション事業においては施設を新設するという機会を最大限に活用できるように，一体的な事業調達が望まれると言える．