バイオガスよる阻害物除去機能を有する新規嫌気処理リアクターの開発：阻害物除去に及ぼす各因子の影響評価

摘要

嫌気性処理法は，廃水・廃棄物からバイオガスとしてエネルギーを回収できるため，エネルギー安全保障や地球温暖化問題への関心の高まりによって再び注目を集めている。しかし，嫌気性処理の技術的な課題の一つは，好気性処理に比べて処理性能が不安定なことである。嫌気性処理における処理性能の安定化・効率化には，嫌気性微生物の活性を低下させる阻害物の低減が有効な方法となる。阻害物には，廃水に含まれる塩類などに加えて，有機物の嫌気処理の過程で生じる硫化水素，アンモニア，水素等も含まれる。この硫化水素やアンモニアの除去には，希釈や薬品を添加する方法があるが，処理水量の増大や運転コストが課題となる。一方，メタン生成槽のバイオガスを利用して，前処理槽（酸生成槽）において硫化水素（もしくはアンモニア）をストリッピング除去する方法では，pH 調整以外の薬品添加が不要となる利点がある。しかし，バイオガスを前処理槽に導入するためには，ばっ気のための装置や動力が必要となることが欠点となる。