計画の仕事におけるダイバーシティとは— ニューヨークの状況をもとに考えるー

摘要

断片的な情報ではあるが，全体的な枠組みが日本とNY で決定的に異なるというよりも，個々の意思決定のかたちの相違が大きいと言える．例えば行政機関の雇用のかたちや若者一人一人の選択のかたちの違いである．またアメリカにおいては，社会とは元来不均質であるが、それが人種差別という分断と不平等になることを克服してきたという歴史的文脈が前提となっている。そのなかでのダイバーシティは常に公平性equity とセットで捉えられ，持続可能性も同時に考えるべきとされる．またリーマンショックの経験や現代の課題の複雑さと困難さの実感から，同質な思考や議論からはそれらを克服できないという認識が強く，旧来の人生設計（家庭や車を得た豊かな暮らし）志向は少なくともNY では薄れている．このような議論や認識から，そもそも多様で複雑な社会を相手にする都市・地域計画の思考と実践には，単に属性のダイバーシティのみでなく，概念自体を多義的に捉え，仕組みと同時にそこに関わる主体の育成が重要であると考える．