地上テレビジョン放送高度化方式の伝送特性評価:マルチパス環境での不均一コンスタレーションの伝送特性

摘要

次世代の地上テレビジョン放送の実現に向けて，筆者らは地上テレビジョン放送高度化方式（以下，高度化方式）の研究開発を進めている.高度化方式は，現行の地上テレビジョン放送と同様にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術をベースとしつつ、伝送容量拡大と周波数利用効率向上のため，不均一コンスタレーション(NUC: Non-Uniform Constellation), LDPC(Low-Density Parity-Check)符号などの新しい要素技術を採用している.高度化方式のNUCは，マルチパスのない電波伝搬モデル(ガウス雑音環境)のもと，特定のC/N(Carrier to Noise Ratio)において信号点座標から算出されるBICM(Bit-Interleaved Coded Modulation)キャパシティが大きくなるよう，信号点座標が最適化されている.しかし，地上波の電波伝搬においては、マルチパスが存在することが通常であり，OFDMサブキャリア毎にC/Nが異なるマルチパス環境でも，NUCの伝送特性を評価する必要がある.そこで，高度化方式のNUC全パターンについて，1波マルチパス環境における従来の均一コンスタレーション(UC: Uniform Constellation)に対するNUCの利得の関係を計算機シミュレーションにより評価した.その結果，NUCがUCに対し利得を有することを確認した.