畜産排水を浄化する伏流式人工湿地ろ過システムの仕組みと設計·施工·管理技術の進展

摘要

北海道や東北において、酪農·養豚などの畜産排 水処理向けに開発·導入してきた伏流式人工湿地ろ 過システムについて、浄化原理や効果、汚水に応じ た設計法、目詰まり対策、散水技術、ろ材の選択、 植物·ミミズなどの生態系確立、浄化率の向上方法 などを概説する。 システムの設計·施工·管理について、約15年間 の取組みを通じて得られた知見は下記の通りである。 ①有機汚水の浄化メカニズムと効果有機汚水は物理的なろ過、化学的な吸着、生物的 な分解の組合せにより浄化される。季節的には、冬 季にろ過や吸着により汚濁成分がろ材に蓄積し、夏 季に吸収·分解される。 ②汚水の性状に応じた面積·段数などの設計法 汚水の流量と水質(CODCr、 BOD,アンモニア態 窒素など)及び目標水質、年平均気温に応じて、ろ 床形式(鉛直流、鉛直流·循環あり、水平流の3種) に対応した負荷と除去量の関係式、温度の影響、面 積当たり投入水量と浄化率の関係などから、処理水 質を推定し、面積·段数などを設計できる。