Risk Based Maintenance手法の紹介と船舶海洋分野適用時の課題と効用

摘要

"Risk Based Maintenance (RBM)"とは，設備保全の時期や内容を決めるにあたり，対象機器の「リスク」に着目し，合理的にリスクを許容範囲内にコントロールするための手法である.機器の状態に着目して保全の時期や内容を決めると言う点においては"Condition Based Maintenance (CBM)"と同様であるが，CBMが単に対象機器の故障時期のみに着目するのに対してRBMでは故障の結果生ずる影響や被害に着目する.すなわちRBMにおける保全優先度の評価は対象機器が壊れるかどうかではなく，何らかのメンテナンスを行うことが安全も含めた経済的合理性に照らして妥当かどうかで判断される.言いかえると，RBMとは「どこまで現状を放置しても構わないか」を評価するものである.この特徴が維持管理のためとは言え容易には設備の運転を止めることが出来ない石油精製/化学産業や発電所，製鉄所等の要求にマッチしたため，設備保全に関する規制緩和が進hでいる欧米を中心に前述の産業に広く浸透している.我が国においても遅ればせながら設備保全の規制緩和が進hだことでRBMの導入機運が高まりつつある.船舶への適用は現行規則との兼ね合レ、もあり具体的な実施事例は確認されていないが，船舶運用の合理性改善ツールとしての可能性が大いにあると考え概要を紹介するものである.