バイオアツセィの未来: in vitroアツセイを用いた神経系医薬品の水生生物影響評価の取り組みとその可能性の観点から

摘要

家庭や病院等からの廃水を受け入れる下水道では、生物処理による有機物や栄養塩の除去および塩素消毒を行った後、処理水を河川や湖、海に放流している。廃水に含まれる日常生活で使用された医薬品は、生物処理で完璧には除去できないため、多くの場合そのまま水環境へ排出される。1990年代以降、国内外の河川水等の水環境から様々な医薬品が質量分析器によつて検出されている。濃度はng/L～μg/Lと低濃度であるが、下水由来の医薬品は恒常的に放流先の水環境へ排出されること、及び医薬品は生体内で特異的な薬理活性を発揮するようにデザインされているので、低濃度であっても長期間曝露の結果として水生生物に悪影響を与える可能性が懸念される。