微量サンプルからの変形菌アメーバの分子生物学的簡易同定に向けた検証

摘要

変形菌は腐木や土壌中，水中などでアメーバの状態で増殖すると考えられており，環境中のアメーバ類の中でその存在比率が大きい可能性が示唆されてきた。環境サンプルに由来する変形菌と推定される配列の登録も徐々に増加しているものの，その実体を既知情報から認識することは困難である。したがって環境中における変形菌アメーバの生物学的位置や種多様性の解明に向けて，変形菌アメーバそのものを用いた検出·同定方法の確立が不可欠である。しかし現在の変形菌の同定法は子実体の形態に依存しており，変形菌アメーバのみを用いた簡易同定法は確立されていない。また環境中から分離された微量な試料でも解析可能な方法が求められる。そこで本研究では遺伝子解析とMALDI-TOF MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析）フィンガープリンティングを併用した簡易同定法の確立に向け，微量な変形菌アメーバを使用した両分析法を検証した。