アカモク受精卵を用いた環境影響評価手法の検討: 塩分とアンモニア性窒素の複合影響の評価

摘要

大型藻類は沿岸海域の生態系保全に重要な役割を果たしているが，排水による沿岸海域環境への影響を大型藻類によって評価した事例は少ない.発表者らは，海産生物種として褐藻アカモク(Sargassum horneri)に着目し，アカモクの受精卵からの発芽，生長による評価手法を検討している.アカモクの生長を阻害する要因として，アンモニア性窒素(以下，NH_4-N)濃度の上昇があるが，pHや塩分の影響を受けやすいと考えられ，NH_4-N単独では無く複合影響を考慮する必要があると思われる.特にNH_4-Nを含む工場排水は通常淡水であるため，排水が大量に流入する海域の塩分(32‰)が低下しやすいが，これまでにアカモク受精卵に対する塩分とNH_4-Nの複合影響を検討した事例はほとhど見られない.そこで，本研究では塩分とNH_4-N濃度の異なる培養液を用いてアカモク受精卵を培養し，発芽と生長に対する影響を評価した.