サイズ分画した活性汚泥の微生物学的特性把握

摘要

下水処理活性汚泥より，常にcandidate phyla radiation/Patescibacteria(以下CPR)と名付けられた系統群に属している細菌が検出されている。CPRは，16S rRNA遺伝子配列に基づき，全容が把握されていなかった細菌がまとめられた系統群であり，細菌の多様性の少なくとも15%以上を占めると報告されている。活性汚泥より検出されているCPR細菌のなかでも特にSaccharimonadiaは，活性汚泥より検出されるCPR細菌の中でも高いポピュレーションを持っており，自身の研究において活性汚泥中の細菌のうち3～15%を占めていることが確認されている。しかし，Saccharimonadia以外のCPR細菌は1％以下であった。活性汚泥中に存在しているCPR細菌のほとhどは，ポピュレーションが非常に低いため，生態学的特性の把握が困難となっている。活性汚泥中のCPR細菌の生態学的特性を把握するためには，活性汚泥中のCPR細菌を集積する必要がある。CPR細菌の集積方法として，活性汚泥のサイズ分画に着目した。0.2μmフィルターでろ過した地下水を0.1μmフィルターにてさらにろ過したところ，0.1μmフィルターにて補足された微生物の70%がParcubacteriaなどのCPR細菌であったとの報告がある。そこで活性汚泥においても，サイズ分画を行うことで多様なCPR細菌を集積することができ，その生態学的特性の把握が可能になるかもしれないと考えた。本研究では，サイズ分画した活性汚泥の微生物群集解析を行いその構造を把握すると共に，分取したサンプルをメタゲノム解析に供することでCPR細菌のゲノム情報の取得を試みた。