土砂管理上の多くの課題を有する海部川の実態解明と掘削事業効果を高める河川管理策の検討: 簡易平面二次元洪水流－河床変動解析法の活用

摘要

徳島県が管理する海部川では，経年的な土砂堆積が発生し，これが本川水位の上昇および支川流域の浸水被害の一要因となっており，土砂管理が喫緊の課題となっている．また，1.6k～6k区間は，砂州高上昇と砂州上樹林化による河道二極化が進行し，澪筋への流量集中による河岸際河床洗掘・堤防侵食が懸念されている．県は，この是正策として砂利掘削・砂利利活用事業をH27年度に立ち上げ，堆積箇所の砂利掘削を進めている．しかし，県管理の中小河川のため，流況と土砂動態の一体的な現象解明はこれまで十分に行われていないことから，堆積箇所の切り下げが縦断的な水位低下にどの程度効果を持つのか分かっていない．海部川現河道の流況，土砂動態の実態を解明し，洪水・土砂の流下を阻害する要因を分析することで，砂利掘削事業の効果を高められる河川管理策について検討することが重要である．