デュアルインバータを用いたモータドライブシステムのコンデンサ電流ストレスと電圧変動を低減する制御手法

摘要

近年，電気自動車や家電，産業用システムなどの様々な用途にィンバータ駆動の可変速交流ドライブが普及されている(1)-(3)。特に，車載用のシステムでは，バッテリを電源としたモータドライブシステムが用いられている(4)。低電圧バッテリを電源とする自動車補機システムの構成は，負荷としてモータ以外にオーディォゃエンジンの制御システムなど，多数の電装品が接続されている。そのため，バッテリの電源ラインが共有されていることからモータドライブシステムに使用しているインパータから出るスィツチングノィズが他の電装品負荷へ伝搬する。このノイズ成分は，他の電装品の性能の悪化や信頼性の低下，誤作動の原因となっている。また，バッテリへの高調波電流の流入は損失や寿命の点でも望ましくない(5)。この対策として，電源ラインに流入する高調波電流をフィルタリングするための回路がインバータの入力部に接続される。フィルタ回路に用いられるコンデンサは，大きな容量が必要とされるため，電解コンデンサが使用される。しかし，電解コンデンサは，流入する電流と等価直列抵抗(ESR)によつて発熱し寿命が短くなることで，システムの信頼性の低下につながる。コンデンサに流入する電流は，数kHz～十数kHz程度のスィツチングに起因するィンバータ入力電流の高調波成分が大きく影響する。そのため，バッテリを電源とするモータドライブシステムでは，インバータのスィツチングに起因する入力電流高調波の低減が求められている。