宇宙機用接着剤由来コンタミネーション物質への紫外線影響評価

摘要

宇宙機には多くの有機材料が使用されている。有機材料からガス（アウトガス）が放出されることは地上においても知られている。宇宙空間において、宇宙機は地上より過酷な真空環境や高温環境に曝されることになる。そのため、同じ材料を使用したとしても、地上で使用された場合よりもアウトガスは格段に放出され易くなる。材料からアウトガスが放出されると、アウトガスは放出源となった材料自体の温度よりも低い温度の物体表面に付着する。つまり、宇宙空間で材料からアウトガスが放出された場合、宇宙機の太陽の影にあたる表面や、性能を維持する目的で冷却されているセンサー表面などの、宇宙機表面の内でもより温度の低い表面に付着してしまう。この現象を、コンタミネーションと言い、コンタミネーションが起こる際に付着する物質をコンタミネーション物質と呼ぶ。コンタミネーションが起こると、例えば、宇宙機表面に使用されている熱制御材の機能の低下や、センサーの取得データの劣化が引き起こされることになり、実際に宇宙空間でコンタミネーション物質が付着したことによる観測データの劣化が報告されている1）。