LPSO 型Mg 二相合金薄板の破壊挙動とイジェクタ評価

摘要

熊本大学によって開発されたLPSO 型マグネシウム合金（以下，LPSO-Mg）は，α -Mg 相と濃度変調を伴った新規な長周期積層構造層（以下LPSO 構造という）相の二相合金である(1)．この合金は，LPSO 相が成形加工によってキンク変形をすることで強化され，超ジュラルミンに匹敵する強度を発現する(1)~(3)．また耐燃性も高く，近年熊本大学によって開発されたLPSO-Mg の一種である，KUMADAI 不燃マグネシウム合金では燃焼温度1000~1050 °C を達成している。このようにLPSO-Mg は従来のマグネシウムが持つ低比重を保ちながら高強度・高耐熱性を有するマグネシウム合金であり，輸送機械などの多くの分野への利用が見込まれる．現在，宇宙用構造材としてはアルミニウム合金が多く用いられているが，打ち上げコストや重量の低減が求められており，低比重である LPSO-Mg は宇宙用構造材として有望である．