惑星間磁場を用いた小型宇宙探査機の姿勢制御

摘要

近年，小型宇宙機の様々な宇宙探査ミッションへの 応用が検討されており，実際の宇宙機を用いた実証 も進hでいる.これらの惑星間軌道における探査ミ ッションにおいて，宇宙機の生存を確保するために は，通信，電源，熱の要求から姿勢制御システムが 必須となる.またミツション実施においても理学観 測などの要求から観測器を目標方向に指向させ，安 定化させる技術が要求される.多くの惑星間軌道における宇宙機ではリアクションホイール(RW)とスラ スタ一を用いて姿勢制御要求を達成している.例え ば2014年に打ち上げられた超小型宇宙探査機 PROCYON0ではスキュー配置のRWとコーノレドガス スラスタを搭載している.通常運用時はRWで姿勢 制御を行い，外乱トルクによりRWが獲得した角運 動量を定期的にコールドガススラスタにより除去， 調整する運用を行っている.このような構成の姿勢 制御系は従来の多くの宇宙機で採用され一般的では あるが，燃料が必要でありミツション継続延長のた めの制約となること，またガスリークなどのァノマ リを意識した運用手順の複雑化などいくつかの課題 も存在する.また，地球低軌道の小型衛星に用いら れる磁気トルカ(MTQ)と比較すると複雑なシステム であるがゆえに信頼性に劣る.特に小型宇宙機にお いては質量，スペース，コストの制約が厳しく，よ り安価で信頼性の高い姿勢制御手法を選択肢として 用意する事は今後小型宇宙機を用いた宇宙探査を実 施する上で意義があるものと考えられる.