ベトナム海洋観測超小型衛星マイクロドラゴン

摘要

マイクロドラゴン（MicroDragon, MDG）は，2013年よりベトナムと日本の宇宙により開発が進められている超小型人工衛星である．宇宙開発新興国であるベトナムが衛星開発技術を習得する為に，日本の5つの大学，北海道大学，東北大学，東京大学，九州工業大学，慶應義塾大学がベトナム国家衛星センター（Vietnam National Satellite Center, VNSC）の若手職員36 名を修士課程の学生として受け入れ，宇宙教育を行いながら共同で開発を進めている．2017 年までの4 年の限られた期間の中で，経験の少ない学生でも衛星技術を習得し開発を完了できるよう，全くのゼロベースから設計するのではなく軌道上実績のある「ほどよしバス」を活用している．上記の参画大学は，この衛星開発の成功を通して国際貢献，宇宙利用および海外市場の拡大，今後の類似プロジェクトへの展開を目指している．マイクロドラゴン衛星は2018 年にイプシロンロケットにて打ち上げを予定している「革新的衛星技術実証1 号機」に搭載され軌道上実証する予定であり，プロジェクトが終了する2017 年の完成を目指して現在開発を進めている．本稿ではマイクロドラゴン衛星の概要および開発状況について述べる．