燃料と酸化剤にそれぞれ異なる相の物質を用いたハイブリッドロケットエンジンは安全性の高さや環境適合性,低コスト性などの利点から大気観測用ロケットや多くの需要が見込まれる小型衛星打ち上げ用ロケットのエンジンとして将来の利用が期待されている.しかし,ハイブリッドロケットエンジンは境界層燃焼に起因して燃料後退速度が遅く,理論上の最高性能を容易に達成できず実用化を困難にしてきた.燃料後退速度は火炎から燃料表面への対流熱伝達によって評価される.そこで,本研究室では酸化剤流に旋回を与え境界層を薄くすることにより燃料表面への熱流束を増加させる酸化剤流旋回方式(SOFT)を提案した[1-2].現在HRrWG(Hybrid Rocket research Working Group)において,SOFT ハイブリッドロケットを発展させたA-SOFTハイブリッドロケットが提案されており,この方式では流量バルブを制御することにより燃焼室内の旋回強度と酸化剤流量をコントロールできる.これによって主燃焼室内の燃料後退速度を制御し,任意の推力時に常に最適な混合比を実現することができると期待されている.
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