マルチレート系における固着補償のー設計

摘要

制御対象の出力数に比べて入力数が多い系に対して入力冗長な制御系を設計する方法が提案されている。この設計方法では，冗長な制御入力を利用して拡張前の目標値応答とは独立に入力を調整することが出来る。そのため，入力の飽和制限のために制御性能が劣化してしまう場合でも，入力の制限内で制御することができる。川口らはこの設計方法に基づき，冗長入力を用いて故障検出を行う方法を提案している。さらに，著者らは実際には一入出力である系に対して，サンプリング間隔で入力が複数回切り替わるマルチレート系の固着故障を検出する方法を提案した。先行研究では故障の検出を行うのみであったが，本稿では複数あるアクチュエータの一つが固着した場合でも残りのアクチュエータを用いて制御目的を達成する方法について検討する。最後にその有効性を数値例により示す。