下水汚泥と稲わらの混合消化における脱離液組成の変化

摘要

下水処理場において，廃棄物系バイオマスを集約し、下水汚泥と混合メタン発酵する方法は，従来の単独メタン発酵に比べ，バイオガス発生量が増加することに加え、廃棄物処理が可能であることなどのメリットによって，注目されている。特に，賦存量が多い稲わらや莂草などの草本バイオマスは，セルロースを多く含み窒素含有量が低いことからその添加効果が大きいだけでなく，消化汚泥中の繊維質が増加することにより，脱水性が高まることからきわめて有効な方法であることが報告されている。一方で，このような廃棄物系バイオマスを下水処理場に集約することにより，脱水ろ液(脱離液)の性状が変化することが予想される。通常，脱離液は，水処理系に戻されて処理されるが，その濃度が高いと，水処理系に影響を及ぼしたり，処理水質悪{匕することが懸念される。