朝鮮の伝統住宅「雲鳥樓」の再究明:生活文化からみた住まうことの場所論的研究

摘要

朝鮮時代の伝統住宅は舎廊棟、内棟、祠堂などが集まって一つの全体が形成される。このため従来の研究ではこれら個別建物についての精細な研究が行われてきた。あるいは、舎廊棟、内棟を男女有別という儒教思想で説明するというような観念的枠組を先行させる研究が多くを占めてきた。しかし、朝鮮時代後期には日常生活を窺うことができる記録があり、ここではそれらの史料を通して具体的な日常生活の様相を明らかにし、そこに表れる住まいの場所の意味を究明することを目的とする。すなわち、本研究は、住まいの場所を人間と住居のかかわりの中に捉えることを目指している。