水辺空間における地域交流の場の現状と課題に関する研究:岡山平野児島湾四ツ手を事例として

摘要

本研究は、大規模な干拓によって形成された岡山市沖新田における「四ツ手」という固有の建築群を対象に、その歴史、役割・機能を調査し、干拓地での水辺空間利用の実態を明らかにすることを目的とする。岡山県岡山市沖新田は江戸時代後期に農地拡大のため国内最大級の干拓が行われた土地である。児島湾北岸の沖新田一帯に栄えた四つ手網漁は、10～20畳敷ほどの小屋を海上に張り出すように設置し、それに網が取り付けられたものを指す。これは「四ツ手」と呼ばれており、近年では漁業的側面以上に観光用として地域内外の人々の交流の場として広く貸し出されている。こうした生業の風景は、観光資源として「西大寺八景」に選ばれ、「横樋の漁火」と呼ばれるこの地域固有の景観を作り出した。