「もてなし空間ネットワーク事業」:商店街の個店改修計画の蓄積からの構想

摘要

山形県鶴岡市の中心市街地に位置する山王商店街は、現在、振興組合員の有志が設立した山王まちづくり株式会社が中心的な担い手となって、１０年近くにわたる行政との協働まちづくりの成果として、「みち広場の整備」「共同店舗と共同駐車場を軸とした拠点ゾーン整備」「協定に基づく個店の改修」を３本柱とする商店街再生の事業を次々と進めている（図１）。この３本柱事業では、商店街が地域の経済活動や文化活動の要となるべく、各種バザールの舞台としての商店街、地域の「食」の要となる店舗展開など、ハードとソフト両面のインフラ（地域社会基盤）を整えようとしている。本稿では、このうちの「協定に基づく個店の改修」においても、商店街に回遊性を生み出すハード・ソフト一体の取り組みとなるように準備を進めている「もてなし空間ネットワーク事業」に至る経緯、内容と進捗状況を報告する。