加圧煙制御の遮煙開口部における流量測定に関する研究:模型実験による外開き扉の常温時における簡易流量測定法の検討

摘要

現在，我が国では付室を煙から保護することで間接的に階段への煙侵入を防止する付室加圧などの方法が整備されつつあり，松下ら1)により常温時に遮煙部の扉開放幅を縮小することで,火災時と同一の付室圧力を形成する常温時の確認方法が構築された．また，平成21年の建築基準法告示の改正により，常温検査時における遮煙部流量(風速及び遮煙開放幅規定)の確認が必要となった．これらの確認方法はどちらも常温時の遮煙部流量を測定により把握し［常温時遮煙部流量の実測値］≧［遮煙に必要な常温時遮煙部流量］という関係を確認する必要があるが，測定方法については示されていない．常温測定時における遮煙開口部は中間的開放性状であり，得られる測定風速は縮流のために測定面のとり方によって異なる．岸上ら2)は扉開放角度θと扉開口幅の関係を構築し，扉開放幅を垂線でとる方法を提案しているが，測定面の適切なとり方に関して統一見解がないのが実情である．また，測定により正確な値を得るためには，測定面をできるだけ細かく分割し，各々の分割面で風速を把握することが理想的であるが，簡易な測定方法の構築ができれば実務上役立つと考えられる．本研究では，模型を用いて加圧時における常温時の流速分布を測定により把握し，［遮煙部流量の実測値］≧［簡易流量測定値］となる適切な簡易流量測定法の構築を目的とする．