中古流通マンション専有部分の全面リノベーション工事に関する研究（その１）:個別対応型リノベーション業者による設計・施工プロセスを中心に

摘要

中古住宅流通問題に対して、中古マンションのリノベーション工事は重要な方策の一つであり、住宅の長寿命化を図るうえでも重要な課題である。近年、中古マンションの流通量は順調に伸びており、今後、専有部分のリノベーション工事はさらに増加すると考えられる。現在の中古マンションのリノベーション工事における代表的な事業形態として、社宅等を買取り1棟丸ごとで改修を行い販売する「住棟一体改修型」、事業者が中古マンションの住戸を買取り、住宅市場のニーズ等を考慮し住戸内の改修を行い販売する「買取再販型」、ユーザーの個別の要望等に丁寧に対応し改修を行う「個別対応型」などの存在がみられる。とりわけ、1戸単位にてリノベーション工事を実施するにあたっては、専有部分と共用部分の取り合いに留意することや効率的な現場施工の実現へ向けた生産システム等が重要と考えられる。