明治後期から昭和初期の家事教科書にみる住宅用台所の材料の変化について: 住宅用台所における近代的技術の導入過程に関する考察　その1

摘要

我が国の台所は、住宅の近代化や技術革新の影響を受けて明治期以降に大きく変化した。なかでも、台所空間や台所設備に用いられた様々な「材料」は、技術革新の影響を多大に受けた要素の一つである。そこで本稿は、台所空間を構成する床•壁•天井、及び台所流し台や竈•焜炉台等の火器周りに用いられた材料について、明治後期から昭和初期にかけての文部省検定済「家事教科書」40冊を史料として、史料中の本文および掲載図版から読み取れる「材料」に関する記述の動向を分析し、台所材料の変化を明らかにする。