住環境改善が社会全体にもたらす経済的便益の推計

摘要

超高齢社会の我が国では、医療費の増大が深刻な社会問題となっている。2017年度の国民医療費は43兆710億［円］であり、前年度に比べ9,329億［円］増加している。更に2040年度には約70兆［円］まで増加することが予想されている。上記の背景より、人々の健康維持増進への注目が高まっており、建築分野においては住環境と健康に関する様々な研究が実施されている。そして、住環境の改善が居住者の健康維持増進に寄与することが明らかにされつつある。しかし、住環境の改善がもたらす影響を個人に限定した研究が多く、日本社会全体にもたらす影響を明らかにした研究は少ない。また、日本社会全体を対象とした研究では、地域性を考慮できていない。