高断熱高気密住宅における断熱気密層の構成に基づくリスクの分析その1 アンケート調査と解析モデルの作成

摘要

近年日本においては省エネルギー化や快適性等の観点から、住宅の高断熱高気密化が進hでいる。特に木造住宅においては外壁の柱間に行う充填断熱と外張断熱を組み合わせた、外張充填断熱を取り入れ、高断熱化を図っている住宅が数多くみられる。その構成は気密層が木材軸組の室内側に設けられているものがほとhどである。室内側に気密層を設けた場合、電気設備関連工事等の過程で生じた気密層の欠損に対して気密処理を行う必要があり、この工程が施工性を低下させている。これを解決する策として、気密層を木材軸組の室内側ではなく室外側に設ける外側気密がある。この方法により気密性の確保が容易になり、施工性が向上する。しかし木材軸組の室外側に気密層を設けた場合の壁内状態は断熱気密層の構成や室内条件等によって異なるため、壁内結露やカビ発生のリスクが懸念されている。壁内結露は構造体の腐朽や断熱性能の低下、仕上げ材の変色といった被害をもたらす。またカビ等の微生物はアレルギーの原因であり、人間の健康や快適性に悪影響を及ぼす。