いえがまちを彩り、まちがいえを彩る: 郊外住宅地におけるウチで完結しない暮らしと住空間の提案

摘要

人は他者と日常的に接触し交流を取ることによって家以外の場に生活していく上での居場所を作り出してきた。しかし郊外では、鉄道の駅の再開発に伴いサービスとしてだけでなく居場所の役割を担っていた商店街などの店舗は衰退し人と接触でき交流へと発展する場が減少している。また、家族・住空間・所有といった「ウチ」で完結する住空間は、郊外に家族至上主義という他者との関係性を築かない暮らしの概念を戦後から現在にかけて根付かせてきた。この暮らしは、場があっても他者との接触を希薄化させ日常的な交流を起こしにくくなっている。約30 年間での家族構成の変化、ネットの普及、高齢者の増加、働き方の変化などの様々な変化によって人の活動の場が家に集中し希薄化が加速すると考えられる今日において、新たなサービスや機能の導入で交流の場を設けるのではなく、暮らしや家そのものの在り方を再考することで家に居ながらでも他者と接触し日常的に交流することができる環境づくりをする必要があると考える。