湖沼沿岸域における植生遷移後の群落構造に及ぼすヨシ植栽時の地盤高設計の影響

摘要

本研究では、ヨシ植栽による沿岸水生植物群落の再生事業を定量的に評価し、ヨシの植栽地盤高の設計指針を示すことを主目的とした。2008年9月〜2009年1月に琵琶湖南湖東岸の抽水植物群落を対象に小型GPSを利用レた植生区分踏査、植物社会学的調査、地盤高調査を実施した結果をもとに、特にヨシ植栽時の地盤高設計に着目し，遷移後の植生構造の分析を行った。その結果、劣化したヨシ群落の沖を埋立て水平に地盤を整形したヨシ植栽地は、ヨシ単体の植生に遷移する傾向が明らかになった。一方で，消波施設を設置せず緩勾配の地盤を設計したヨシ植栽地は，多様な植物が観察され自生ヨシ群落に近い植生構造であった。これらの結果を整理し、ヨシ植栽時の適切な地盤高設計に関する新しい知見が示された。