長崎県雲仙市国見町神代、旧鍋島家住宅の増改築の様相‐図面·資材帳等の検討を基に

摘要

旧鍋島家住宅(図1)は、長崎県雲仙市国見町お托に所在し、佐賀藩が有明海を隔てて有した神代領の考主屋敷として一帯の中核に立地する。これまで小ま伝統的建造物群保存対策調査や長崎県近代和風建築調査で調査が行われ、複数棟からなる主屋は大規模で良質な遺構で、「御北」が元禄期(1688～1703)、「中2階」と「御座」が明治22年(1889)、残る玄関·台所·「表2階」が昭和4年(1929)の建設であることが家伝などから明らかにされた)。平成19年6月には、武家屋敷群の中心的な建物として、また雲仙島原地方の代表的な近代和風建築として、重要文化財の指定を受けた。