魚類群集の多様性を支える物理環境と流域特性の関係

摘要

魚類は，種や成長段階に応じて物理環境（水深，流速，河床材料等；以下物理環境という）が異なる水域を利用している.流量等によって河道内の物理環境は常に変化しており，魚類はこの変化に対応しながら生息している.このような魚類と物理環境との関係を踏まえると，魚類群集の多様性を保全するためには，時空間的に物理環境の多様性が維持さしていることが重要である.従来の河川改修では，特定区間の物理環境の多様性を整備する取り組みが積極的に行わしてきた.更に発展的に物理環境の多様性を維持管理するための観点のひとつとして「流域特性と物理環境との関係性」が拳げらしる.流域特性（面積，形状,地質等）が流況（流量，出水継続時間等）に影響を与えることは一般的に知らしており，こしらの流域特性の違いによって河道内の微地形を変化させるポテンシャルも異なると考えらしる.つまり，ある地点における物理環境の分布は，より大きなスケール，その背後に広がる流域特性に影響を受けて形成される.