ニューヨーク州Westchester Land Trustによる環境管理手法に関する研究: コミュニティ·ランド·トラストによる地域環境管理に関する研究　その1

摘要

人口減少や過疎高齢化の進展により、我が国の中山間地域や郊外住宅地をはじめとした人口減少地域では地域の環境管理が困難となってきている。一方で土地の個人所有により、空き屋や空き地、耕作放棄された農地がまばらに発生し、地域環境の維持が困難となっている。人口減少局面に転じた我が国では、これまでと同様の居住圈域の維持は困難であるといえる。そのため、今後は地城全体を総合的に管理し段階的に縮小する計画手法を検討する必要がある。そのためにも、私有財産である空き屋や空き地、農地を含めた地域環境の保全手法を検討する必要がある。欧米における環境保全は主にNPOなどが寄付金を募ったうえで土地を購入し、保全するコミュニティ·ランド·トラスト（以降CLTと記載）が主であった。これは、コミュニティが土地を所有することで土地開発を抑制する手法であり、これまでも多くの自然環境を保全してきたといえる。こうした中、米国では1984年に統一保全地役権法が制定され、自主的な関発権の寄付行為への免税措置がとられた。その後はCLTの手法として開発権の寄付という方法が土地保全の手法として多くとられている。