砂礫河原に繁茂する株状庫本シナダレスズメガヤの土砂捕捉特性と洪水攪乱による除去条件

摘要

河川上流域に設置されたダム·堰等による下流河道でのピーク流量低下や土砂供給量減少により，低水路の河床低下や高水敷·中州との比高差拡大が生じている.洪水攪乱頻度の低下した高水敷や中州は乾燥化·陸地化によって樹林化が生じている.河道内の樹林化によって生じる問題として，①流水阻害や水位上昇(治水上の問題)，②生態系の単調化，などが挙げられるが，高水敷や中州が樹林化していく過程の初期段階において，草木類の役割は大きいと考えられている.草本類が中州に入植すると，小規模出水時に土砂を捕捉する役割を果たし，中州と低水路の比高差を拡大させる要因となる.