20世紀オランダ近代建築の形態言語に認められる両義的性格に関する考察: オランダ近代建築の形態言語の源泉と成立に関する研究

摘要

本研究は20世紀オランダ近代建築運動における固有の空間言語の確立に関して、1920年代の空間美学的前衛運動からの影響や機能主義パラダイムに牽引された思潮的影響からは独立に認められる産業革命期以前に存在する建築都市実践からの影響を、オランダ近代建築の形態言語の先進性の背後に同時存在する両義的要因と捉え、20世紀初頭の前衛運動や都市計画•住宅団地計画に関するポレミックとこれに関係するプロジェクトの構成文法を対象に、同地域の近代建築運動実践に認められる固有の形態言語の源泉を中世後期に遡及する視点に立ち考察を加え、そこから同地域のモダンムーヴメントの建築形態言語の成立要因と適応の可能性についてその一端を明らかにすることを目的としている。