壁量の不足する南側外壁構面のみを対象とした既存不適格木造住宅の耐震補強効果

摘要

既存不適格木造住宅では居間や玄関が面する南側外壁構 面で耐力が不足することが圧倒的に多い1)．一般的な耐震 改修設計に倣えば，このような住宅では南側構面を重点的 に補強して偏心による設計耐力の低減を抑えるとともに， 建物全体にバランス良く不足分の耐力を補うことが必要で ある．一方，耐震改修工事を合理的で安価に実施し，住宅 所有者の経済負担や室内工事という精神的負担を軽減させ て改修を促進するという観点から見れば，耐震改修工事を 外壁構面に限定した場合の補強効果に関する知見を整理し ておくことも改修工事のメニューを増やすという意味で必 要と考える．