大規模災害発生後における公立小中高校の移動プロセスと復興にむけた課題:東日本大震災後の岩手県沿岸部被災学校を対象として

摘要

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、戦後以降の非常に大きな緊急事態である。22都道県で建物被害のあった高校段階までの公立学校は6284校であり、内193校は建替又は大規模復旧工事が必要と認定された。今震災では地震被害だけでなく津波被害により全壊した学校も多い。この状況の中、岩手県内の全小中高等学校は4月6-26日に始業しており、被害の小さい学校による受入れや仮設校舎への移行等が行われている。受入校を避難所や仮設住居敷地として活用し続ける事例も多ぐ公立小中学校は、地域施設の1つとして災害発生後の地域コミュニティを支える核でもある。また、今震災をきっかけに複数の学校が1ヶ所に集められた結果、学校統廃合が前倒しになる等、学校は子どもたちの生活拠点として重要な位置を占めているにも関わらず、学校移動による子どもたちの不安定な生活が続いている。