アーサー?ドレクスラーのモダニズム観:ニューヨーク近代美術館 建築?デザイン部門の展覧会を事例に

摘要

キュレーターとはラテン語のcurate(管理する)に由来し「美術館、博物館で、資料や作品の研究、収集、展示、管理などに携わる専門職を指す」。現代の日本ではさらに職域を拡張し、「調査、執筆、講演、展覧会や関連事業の企画制作などを通して、アートが持つ可能性を社会に示していく役割を果たす」とも考えられている。一方、展覧会は展示構成やカタログなど二次情報の複合的経験であり、専門家から一般市民までを対象に建築を伝えてきたメディアとして検討する意義は大きい。特にニューヨーク近代美術館(以下、MoMA)の展覧会は、「インターナショナル?スタイル」のようなコンセプトを発信してきたことが知られている。しかし、建築史ではそのような展覧会の意義や、展覧会の実務を担い、情報を編集するキュレーターの思想に関する研究は限られている。そこで本稿では、1951年から86年までMoMAの建築?デザイン部門のキュレーター及びディレクターを務めたアーサー?ドレクスラー(Arthur Drexler, 1925-1987)の仕事に焦点を当て、彼の思想の一端を考察する。