過疎地域における空き家を活用した地域密着型福祉施設ネットワークの構築: 山口県阿武町における「阿武福祉会」の取り組み事例

摘要

過疎地域の自治体においては、地域の人口減少と高齢化の同 時進行により、高齢者の暮らしを支援する医療福祉需要増大 への対応と、税収減や地方交付税削減による財政逼迫化の元 でのサービス水準維持という困難な課題を抱えている。 阿武町では町の拠点施設整備が実現したものの、現状でも 施設利用者は90 名に近く、今後の需要増加を見込むと、近い 将来１施設のみでは対応できなくなることが容易に予測され る。従って、施設設備が充実した拠点施設を専門的なリハビ リを必要とする高齢者を主対象とした施設として位置づけ、 一方で地域に密着した小規模多機能型福祉施設を分散配置し、 気軽に利用できる家庭的雰囲気を好む高齢者にサービスを提 供する施設と位置づけることにより、全体的な需要増加への 対応、利用圏の分担による送迎時間の短縮とコスト低減、高 齢者のデイサービスメニュー選択枝の充実が可能となる。