東北の雪国に形成された民家形態を考える

摘要

これまで東北の民家や集落を数多く巡り、調查もさせていただいた。その主なものをあげると、青森県では黒石市中町の「こみせ」の町並み（重伝建）、弘前仲町の武家（重伝建）、津軽の民家、秋田県では鹿角市の「こみせ」の町家と農家、由利本荘市の両中門の民家、岩手県では遠野市の千葉家住宅（国重文）をはじめとする南部の曲り家と直ご家、陸前高田市の今泉集落と脇通路型民家、宮城県では仙台巿泉区の曲り家の民家、大崎巿を中心とした「ッノレミヤ」の民家、山形県では大石田町の河岸場集落、鶴岡巿田麦俣の多層民家「たかはつぱう」、同市砂川の妻入り農家「たてや」、福島県では会津馬屋中門と直ご家、下鄉町の大内宿（重伝建）、南会津町の前沢集落（重伝建）と水引集落などである。今、改めて振り返ってみると、これらの多くは積雪の多い地域や厳しい気候条件のところでもある。そこで今で今回は、これらを中心に雪国でない関連資料なども引用しながら東北の雪国に形成された民家形態を考えてみたい。